英語のビジネス通訳の勉強法、どうやってする?

海外生活

先日の日本帰国でいろんなことを経験しすぎたので、記事書きたいなー、書きたいなーーと思いながら時が経っていました。

過ぎ去りしなんとか風のごとしです。

書きたいトピックが軽く10はあるのですが、今回は日本に帰国していた時の通訳仕事のことを書こうかと思います。

初の通訳しごと

去る3月、急遽日本に帰国することになりました。

今回の目的は、スポーツイベントでの通訳です。

それは、ワールドツアーもやっている大きなイベントで。

会場も大きいため、会場設営から本番・撤去までの3週間、設営、運営される現場で日本語⇄英語の通訳をさせてもらえることになりました。

「日常会話の英語」と通訳はちがう

話をもらった瞬間、とても嬉しかったのですが、同時にめちゃくちゃ怖くて。

英語は日常で使ったり、日本人でない友だちと話す時に使ったりはしていますが、がっつり仕事で使ったことはないし、ビジネスレベルで通用するのかな・・・?と不安で。。

そもそも通訳って「普通に英語をしゃべる」とは違う「聞いて・理解して・代理として伝える」という専門的なスキルが加わる。

そして実はそれだけじゃなくて、通訳の最終目的は、その場の交渉がうまくいくためのある種「流れをつくる役割」の意味合いも含まれるそうで。だからただ聞いたことを、そのまま伝えるのはよくない場面も多々あるようです。

実際、やってみたあとに思いましたが、一定の語学力やボキャブラリーはある前提で、通訳は語学力があればあるほど成功するものとは限らないと思いました。

この話し合いをどういう方向に持っていったら、うまく現場が進むか、何歩か先を考えて伝える必要があると感じて、とてもおもしろい仕事だと感じました。

通訳経験者に聞く

実際にやる前は、

通訳経験のある人に「どうしよう…!!」と相談したり「どんな仕事なのか」「何がポイントなのか」また、「できる?やりたい?」と自問自答し続けました。

「やります!」という返事したあとに。(笑)

不安より、やってみたい!というワクワクが勝って、即「やります!」と言ってしまってはいました。(笑)

語学はとても好きだし、やれば伸びるの知っているのですが、あと2週間で準備が間に合うのかとか・・・。

でもやるしかないので、決めたあとのそこから2週間は、もう特訓です。「やるしかない」ってなったあとの集中力はすごかったです。

通訳・勉強法  

私なりに今回やったことをお話したいと思います。箇条書きにするとこんな感じ。

1 )専門英単語を爆裂に覚える

2)Youtubeで英会話レッスンチャンネルを見る(日本人のものではなく、英語ネイティブの人のチャンネル)

3)英語ほぼネイティブの子とロールプレイングを1日2時間×1週間

4)会話を想定して歩いている時とかに一人会話シュミレーション

1)専門英単語を爆裂に覚える

通訳の方は現場に入る前に、各分野の専門用語の単語を覚えまくるみたいなので、まずそれをやりました。

実際に通訳の現場に入る時は、もらった資料を元に、関連単語を覚えるのが一番いいと思います。今回に関しては、イベントの運営などに必要な単語「搬入、搬出、クレーンの種類、音響のこと、運営、警備、金額、交渉」などに関する周りの単語を覚えました。

資料があまりなければ、どんな現場になるか想定して、単語を調べて覚えるといいと思います。

専門用語をあまり知らなかったので、かなり集中して1週間で500単語くらい覚えました。

あの集中力が毎日あれば、登りつめてなんかすごい人になれそうなくらい・・・フランス語そっちのけで、毎日3時間くらい集中して勉強しました。これ忘れたら実際本番で交渉が止まるなと思ったら、暗記せざるを得なくて、めっちゃ定着しました。(笑)

人は追い込まれると、能力が引き出される。(笑)

2)Youtubeで英会話レッスンチャンネルを見る

寝る直前までと、起きた瞬間から、英語ネイティブがレッスンする英語のYoutubeチャンネルをずっと聴いてました。

フランス人の話す英語は、基本イギリス英語なので、できるだけイギリス英語ネイティブのYoutubeチャンネルをみていました。(今回の通訳相手はフランス人の会社、でも使うのは英語でした。)

全て英語の解説のYoutubeチャンネルはちょっと厳しいけれど、英語を勉強したいという人は、最初は日本人がやっている英語学習のチャンネルを1日にちょっとずつでもみるといいと思います。

私は勉強し始めの最初は、ずっと「バイリンガルちか」さんのYoutubeチャンネルを聞いていました。料理するときとか、メイクするときとかスキマの時間に毎日聞いていました。

ちなみに、私はイギリス英語を話す友達が多くて、友達と話すことで基本勉強してきたので、イギリス英語の方が断然聞き取りやすいです。

(最初は全然会話にならなくて恥ずかしいし、たくさん話しかけられているのに、返事が一文とかしかできなくて死にたくなりますが、伝えることを諦めずに繰り返していけばだんだん話せる文の数が増えていきます。)

アメリカ英語の勉強に関しては、アメリカのドラマはたくさんあるし、映画はだいたいアメリカ英語なのでより勉強しやすいと思います。

3)英語ほぼネイティブの子とロールプレイング(実践練習)

自力で上記の2つはやりましたが、これは人の力を借りました。結果、とても役に立ちました。

聞いて、理解して、交渉がうまくいくように伝えるという通訳業務をやったことがないので、英語ペラペラの韓国人の友だちにロールプレイングを1週間やってもらったんです。

家で暇だからぜひ来て!といってくれて、赤ちゃんのお世話をしながら、毎日ビジネス英会話の練習をやってもらいました。

(癒されまくりました。めちゃくちゃ落ち着いていて、笑顔で、思いやりがあって、すでにとっても紳士な男の子!)

お願いした友だちはとってもスマートで、説明も的確で本当に助かりました。

一辺倒の答えを教えてくれるのではなく、ビジネスの場でベターな状況にするための話し方を踏まえて教えてくれたので、実際の現場でかなり役に立ちました。

イベントの資料を元に、現場で想定される質問集をたくさん作って持って行き、質問してもらって、答えて、よりよい言い回しを探して、何パターンもやって。。

を、ひたすらやってました。

これがすごく良かったと思います。

練習でも、一回やったっていう安心感も生まれるので、本番で緊張することをかなり軽減できたと思います。

外国語は緊張が敵

通訳経験者に「緊張が敵。」と聞いていたので、そこをクリアする意味でもやって良かったと思います。

通訳でなくても、実際海外などで英語などの日本語以外の言語を話そうと思ったときに、↓こんな経験ありませんか?

緊張してしまうと、わかるはずなのに何も聞こえなくなったり、なにを答えればいいか頭ではわかっているのに、とっさに口から出てこなかったりしたり。

私はロールプレイングをやっていた安心感で、緊張がかなりとけていたので、そういう意味でもやってよかったと思います。

だからよく言われているように、日本の英語教育も実践の場さえあれば、もっと実際に英語を使えるということなんだろうなぁ、と身を持って実感しました。
聞く、覚える。だけじゃなくて。その先の会話っていう実践がカリキュラムにあれば、英語が話せるひとがもっともっと増えて、日本の優秀すぎる技術や文化のクオリティを海外で戦わせることができるのに。。そんな壮大なことまで考えつつ。

4)会話を想定して歩いている時とかに一人会話シュミレーション

あとは、これは無意識でよくやっているのですが、道を歩いている時に会話をシュミレーションして返事したり、質問したりすることが多いです。練習相手が見つけられなくても、これなら一人でいつでもできるし、かなり役に立ちます。頭の中で一回やっていると、実際いざ相手ありきで話す時にスムーズです。

私はこれはけっこう習慣なので、歩きながらよくやっていて、たまに会話が盛り上がったら大きい声になって恥ずかしい時があります。(笑)

勉強した2週間のあいだは、精神と時の部屋に入ってるような感覚。(笑)
やるだけやったあと、日本に帰国しました。

日本に帰国、そしてイベント会場へ

今回のお仕事は、ずっとサイトで活躍を見てくれつつ、連絡もくれていた元同僚と一緒でした。

このサイトを見ながら、私がパリに行っても気にかけてくれています。いろんなことを話す、同志のような存在。

海外に住むと、普段会えないってこともあって、友だちから連絡もらえるのってかなり減るから、それでもわたしのことを気にかけ続けてくれるとてもありがたい存在です。

イベントのある広島に前のりして、いきなりステーキを食べながら、(広島名物じゃなくて肉が食べたくなった・・笑)

「もし、明日からの現場で、1ミリもわからなかったらどうする?」と恐怖でしかない話をしながら(笑)心の準備をして。

初日を迎えました。

緊張していましたが、いざ初日がはじまり、話してみれば、普通に理解できて、困ることもほとんどなく、一安心しました。良かった・・・。

それから約3週間、毎日日本サイドと海外サイドのやりとりを訳したり、交渉したりしながら。

なにもないまっさらな土地から、少しずつできていくイベント会場の姿を見て。

毎日誰かと仕事をして、飲みに行って、久しぶりにたくさんのひとと、ひとつの現場を作るっていう体験をして、いろいろ感じることがありました。

なので、終わったあとは、パリに帰ってきて完全に燃え尽き症候群になりました、、。

今回のことを通して、2年間で途切れ途切れでも語学を勉強していて、着実に進んでいるんだ、と思いました。

英語ネイティブより、英語が第二言語である人口の方が多い。→緊張しなくて大丈夫。

さらに、普段フランスに住んでいて、フランス人の英語を聞き慣れていること、またフランス人だったらこの言い回しの方がいいかな?という感覚がわかっているので、アドバンテージがありました。

世界には、英語ネイティブよりも、日本人やフランス人のように、英語が第二言語の人口が圧倒的に多いです。

なので、ときには正しい英語を話すより、少し表現や文法が間違ってても(むしろ間違えた方が伝わる時もある)、どれがベストな伝わる方法か、考えて話せばけっこう伝わります。

メディアで話すなど、公の場では正しい英語を話す必要がありますが、会話として伝えるということに関しては、そういう話し方の方がスムーズに進むこともある、と思いました。

日本人は、少し話せても、完璧に話せないと「できない。」と思って話し続けることをトライしない人の方が多いと思いますが、

他の国の人は全然話せなくても、「わたし英語話せます」と言い切って、文法とかぐちゃぐちゃでもずーっと話し続ける。そして、話し続けているうちに、本当に話せるようになっていくことが多いように思います。

そういうのを日頃見ていて「やってみる」ことの大切さをいつも感じています。

せっかく語学を勉強しているし、言葉に関わることはすごく好きなので、やってみたいと思っていた通訳、翻訳。

英語をちゃんと勉強しはじめた2年前より、伸びているのはわかっていましたが、毎日自分の言語を聞いていると実際どれくらい成長したかわからないもの。
もっと活用していきたいな、と思いました。

勉強して2年で通訳をできることもあるということが、誰かの励みになればいいなと思いました。

じゃあまたね。

Saki

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パリ在住のライター

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関連記事一覧

  1. すずか

    こんにちは、またおじゃまします。
    「そうそうそうそう!」と思うことばかりで、
    それを自分の感覚や経験から言葉に掘り起こせるsakiさんのセンスって秀逸ですね。
    私も海外生活はフィンランドの2ヶ月とオーストラリアの10ヶ月で、気づけばたった1年だったのかと。はじめての通訳は海外生活前のボランティアだったので、少し気が楽で。好奇心だけで挑戦しました。二度目はオーストラリアで日本から来るVIPな方々のアテンド。
    「やらなきゃいけなくなれば、やれるようになるだろ!!」
    とsakiさんと同様、引き受けた後から襲ってくる不安を必死にポジティブに蹴散らしていました。笑

    現職では外国人役員の秘書をしています。相変わらず専門用語は全然頭に入ってこないし、sakiさんのその2週間の集中力には爪の垢でも煎じて飲みたいくらいですが(笑)、通訳という役目を担えるポテンシャルが少しずつ伸びているようで嬉しいです。
    語学って、ほんとーにすこーしづつしか伸びないので、自分ではどのくらい変わってるのか分からないですよね?自分の声を客観的に聞く機会も無いし。
    それでも、ネイティヴの方に「その流暢な英語!どこで覚えたの?」と褒めてもらえると嬉しくなります。
    私ももっと高いステージに行ったらsakiさんが感じたみたいな成長を感じられるポイントがあるのかな。

    永遠に完成しない語学習得ですが、お互いがんばりましょう^^

    今月末、退職して起業の準備をはじめます:):)

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パリ在住のジャーナリスト、ファッションバイヤー。
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