モノを作る側の人と、モノを売る側の人。
そこには度々、矛盾が生じます。
特にパリに来てから、よく考えるようになりました。
私は、自分の職業であるバイヤー・ライターとしては、マーケティング側の人です。
けれど、周りの友人たちは、モノを作る側の人が多いのです。
そのような、いわゆるクリエーターさん、職人さんたちが留学や、お仕事で、パリに住んでいるのです。
例えば、デザイナーさんなら、美しいものをデザインし、縫製する、美味しいものが作れる、スキルや情熱があります。
私はバイヤーとして、ライターとして、生み出された「モノ」を、マーケティングによって広める側です。
だから、デザイナーさん、ひいてはブランドが作ったカバンや、靴や、服。
その良さが、どうやったら伝わるか、いつも考えています。
モノを触って、生地を感じて、ブランドの歴史を勉強し、デザイナーの想いを読んだりしながら、
多くの人に、この良さがどうやったら伝わるかを考えるのが、マーケティングかな、と思います。
伝えるには「良さ」の根拠が必要かと思うんです。
それを知って、そして、ライティングや、画像をもって、伝えます。
マーケティングがうさんくさいと感じる理由
常々思っていることがあります。
「モノ」を広める役割の、宣伝の、「マーケティング」って、なんか、うさんくさいときない?何でだろう??
私が思う、意見からいうと、
「モノ」の本質や良さを理解していない、中身が伴っていない販売戦略
そもそも、マーケティングって何?
市場調査・製造・輸送・保管・販売・宣伝などの全過程にわたって行う企業活動の総称。
広い意味で使われるので、マーケティングが用いられるシチュエーションによって、意味が変わることもありますが、
ここでは端的に
「販売戦略」
と、します。
世の中的には、なんだか販売戦略(マーケティング)がうさんくさいと感じられる事例が多々あります。
なぜか??
何か広告を見たり、セールスを受けた時に、ぼんやり感じてはいた、違和感。うさんくささ。
ただ、これまでは「またうさんくさい広告、宣伝があるな。」と感じていたけど、
「うさんくさっ、なんやねん。」って思った5秒後には、
お菓子を食べ始めたり、バカ笑いをしたりしてすっかり頭の中から消え去ってました。
でも最近は、
その「モノ」を売るためのマーケティングの「うさんくささ」の正体を如実に考える時間が増えていました。
マーケティングをする側の自分が、少し、恥ずかしくなる時があるんです。
その恥ずかしさの正体を、最近考えていましたが、なんとなくわかった気がします。
それは、
マーケティングをしていると、ほんとはその「モノ」の本質、良さを知って、販売しないといけないのに、
小手先だけで売っているときがたまーに、あるからです。
すごく、商業的だと、感じます。
もちろん、バイヤーやライターとして、販売戦略をする対象の「モノ」をしっかり調べて、誠実に伝えるためにマーケティングしますが、
マーケティングをしないといけないモノがめっちゃくちゃ、死にかけるほど多い忙しい時は、流れ作業化してしまっているときもあります。
やっぱり作っている側からすると、そういうのってどうしても違和感があるらしいのです。
そりゃそうだよね。
自分が想う情熱や培ってきたスキルを作って、愛を持って作り上げたものが、ちがう風に宣伝されてしまっては、悲しいですよね。
わかるようで、職人でない私は実感はないので、
うさんくさい、の正体を考えてみました。
・得体が知れないとき
・根拠がないとき
・内容が伴っていないとき
デザイナーの友人の「違う風に伝わる売られ方をしたくない」という意見
実際、私の友人で、とても素敵な服をつくる子がいます。
マーケティングする側としては、こんな素敵な服を作れるなら、
もっともっと宣伝活動もしたらいいのにー!と思ってしまうんですが、そこまで考えたことなかった。と言います。
作ることにしのぎを削って、集中してるようです。
本当に、かっこいいなあ、素敵だなあと思います。
自分にはできないから、余計に。
その技術に、情熱に、集中力に。尊敬します。
聞くと、宣伝するのにすごく「違和感」があるらしく、
例えばビジネスインスタにお仕事依頼はDMでお願いします。というような商業的なことを書くだけで、
「イーッ」って虫酸が走るらしいんです。
「なぜ抵抗があるの?」という私の問いに答えた彼女の言葉に、ハッとしました。
「もし、自分の作ったモノや、想いが、違う風に伝わってしまったらいやだ。」
そう、
中身の伴っていない、
その状態を嫌うんですね。
実際、どこかのマーケティングをする会社が流れ作業でやってるなー。って感じる宣伝は、
商品の魅力に対して、適切な宣伝方法がなされてなくて、伝え方がずれてて、
そのために、うそっぽくて、お金の匂いがする感じの宣伝になっちゃってたりしています。
(もちろん、マーケティングの会社が請け負っている宣伝でも、もちろん適切に伝わる宣伝はいっぱいあります。
「モノ」を理解せずに、ターゲットを理解せずに、流れ作業でやっている案件に関してです。)
商業的すぎるマーケティングBUYMAでの例
商業的なマーケティング案の例を、BUYMA内であげてみると、
「CHANELマトラッセバック。最安値!今なら10パーセントオフ」
というコピーを見るとげんなりします。
CHANEL自体の精神を、CHANELの本当のお客さんを、知らないんだなー。って思ってしまいます。
CHANELは、大量に安価で売りさばくことを目的とした販売戦略を取っていません。
実際、オンライン販売もないし、セールもありません。
でも、ココ・シャネルの想いに、姿に、世の女性が熱狂して、たくさん売れているのです。
結果として、たくさん売れているのです。

でも、売るために「「CHANELマトラッセバック。最安値!今なら10パーセントオフ」」
と書けば、本末転倒だと思うんです。
売れないという意味ではないです。安いから売れるでしょうね。CHANELをミーハーで好きな人には。
でも、良い売り方ではないと思います。
そういう販売戦略を取られ続けると、ブランドの精神が崩れて行ってしまうでしょう。
モノを大切にしている売り方ではないということです。
本当のマーケターは、膨大なデータ量を持っている
今回の記事は、文系的な見解を示していますが、実際マーケティングは、数字に基づいたデータ(根拠)が必要なのは前提です。
その前提で、書いているつもりです。
日本を代表するマーケターは、USJを立て直した森岡毅さんだと私は思います。というか有名ですが、
彼はアイデアマンの印象が強いけど、そのアイデアは、膨大な数字という根拠に基づいた、販売戦略なのです。
それは、モノの本質に近づくために、膨大な数字を通して、モノに寄り添って、本質を見て、どう売ればいいか考えているのですよね。
モノの本質を知る事と信用を積むことが解1
そう、適切なマーケティングは、モノの本質を知ることと、信用を積むことだと思います。
そのために、
モノを触って、生地を感じて、ネットや本でブランドの歴史を勉強し、雑誌やインスタでデザイナーの想いを読んだりするのです。
自分は、そのモノを作った人にはなれないから、近づくために、そのために、上記のデータを集めるのです。
(データは、数字だけでじゃなくて、想いや歴史という意味も含まれます。)
ちゃんとデータを集めて、知ると、決めつけや思い込みから抜け出せて、適切な販売戦略に近づけます。
そして、それを本質を知って行う販売戦略は、目先の利益にとらわれずに売ることができます。
知っているからこそ、無意味な売り方が気持ちの上でもできなくなるんです。
目先の利益だけを求めて売ることなく、信用が積めるんです。ブランドからの信用も。お客さんからの信用も。
正解はわかりませんし、ただの私が現時点で出した一つの解です。
「うさんくさくならないマーケティング」、この記事の課題は私はずっと考えることだと思うので、皆さんもどんな意見があるか聞かせてください。
私もまた、自分の中の意見をアップデートしておきます!
ではまたね、ちゃお:)
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